BAD & BAD【Ⅱ】





鼻歌を歌いだしそうな私に、剛が顔色を曇らせた。




「さっき間違えたことに逆ギレして、弘也に何かしようとしてんじゃねぇだろうな。悪ふざけすんなよ」


「どんだけ私の性格を悪く思ってんの。何もしないよ」


「連続殺人犯並みに悪いと思ってますけど?」


「ふざけんな」




今すぐ考えを改めろ。

私は聖母並みに性格が良いんだっ!



大宮ツインズの後ろで剛と言い争っていたら、高くて艶やかな声音が廊下に響き渡った。



「ひーろちゃーん!」


「うげ」



恐る恐る振り返った弘也に、背後から両手を広げて突進してきた唄子ちゃん。



朝から大胆だね。


あ、唄子ちゃんが着てる制服、セーラーじゃなくてブレザーだ。ブレザー姿も可愛いな。



弘也に絡みつきながら挨拶をしてきた唄子ちゃんの腕を、乱暴に振り払う。



「くっつくな」



地を這う、ドスのきいた声。