「幸珀、間違えたのか?ははっ、弘也かわいそ」
「剛をしょぼいサボテンと間違えたことしかないんだけどなぁ」
「んだとこら」
癇に障る笑い声と共に横から会話に入ってきた剛に、遠回しに誹謗する。
間違えちゃったんだからしょうがないじゃん。笑うな、やかましい。
わざとじゃないだけ許してよ。
たかやんと弘也の声質が、似すぎなんだ。
「間違えてごっめーん」
「謝る気ある?」
「ない」
「ないんかい」
弘也は困ったように苦笑した。
そういえば、たかやんはどこにいるんだろう。
2人と一緒じゃないのかな。
「朝っぱらから騒がしいな」
「あ、いた」
たかやんはすぐ近くで、靴箱から取り出した上履きを履いていた。
なんだ、そこにいたんだ。いつもより影薄かったね。探したよ。



