友達と下校とか、青春っぽくてずるい。
私も仲間に入りたいけど、変装のためグッと我慢。
「俺、弟が欲しかったぜ。あんな変態兄貴じゃなくて」
「俺は兄が欲しかった。あんな愚鈍な弟じゃなくて」
「お互い、苦労してんな」
「ほんとにな」
中年サラリーマンみたいな空気になってる2人を、一歩引いたところから眺める。
私、一人っ子でよかったな。
なんて、しみじみ思っていたら。
突然――グイッ、と横から腕を強く引っ張られた。
いきなりのことすぎて、心臓が一瞬止まった。
え?
な、何が起こったの……?
背中越しに、扉が静かに閉められた気配を察した。
真っ暗闇に包まれていく。
私の腕には、まだ誰かの手の感触がある。



