かっこつけずに、そのまんまで。
師匠らしく、京ママとぶつかってきてください。
結末がどうなるかも、大丈夫かどうかも、私にはわかんないけど。
師匠が何を望んでいるかは、わかってる。
「俺、頑張るよ!」
「師匠の勇姿を、キッチンの隅から見守ってます」
私にできる精一杯を、独りでも立ち上がれる師匠へ贈ろう。
師匠は、皆のヒーローにはなれないかもしれない。
でも、きっと、京ママのヒーローにはなれるはずだから。
「応援してますね」
私のエールが、師匠の強さの源になりますように。
「編集できたぞ」
「お、早いね。……じゃあ、私達はまた隠れよう」
剛が師匠にビデオカメラを渡してから、私達は再びキッチンの物陰に姿を隠した。
作戦の最後を飾るのは、京ママへの訴えかけ。
酒乱を自覚して動揺するであろう京ママに、師匠が本音を伝えるんだ。
キーで開錠した扉を、開くことができるのか。
全ては、師匠次第。
どう足掻いても、これで決まる。



