BAD & BAD【Ⅱ】





かっこつけずに、そのまんまで。


師匠らしく、京ママとぶつかってきてください。



結末がどうなるかも、大丈夫かどうかも、私にはわかんないけど。

師匠が何を望んでいるかは、わかってる。



「俺、頑張るよ!」


「師匠の勇姿を、キッチンの隅から見守ってます」



私にできる精一杯を、独りでも立ち上がれる師匠へ贈ろう。



師匠は、皆のヒーローにはなれないかもしれない。


でも、きっと、京ママのヒーローにはなれるはずだから。



「応援してますね」



私のエールが、師匠の強さの源になりますように。





「編集できたぞ」


「お、早いね。……じゃあ、私達はまた隠れよう」



剛が師匠にビデオカメラを渡してから、私達は再びキッチンの物陰に姿を隠した。



作戦の最後を飾るのは、京ママへの訴えかけ。


酒乱を自覚して動揺するであろう京ママに、師匠が本音を伝えるんだ。




キーで開錠した扉を、開くことができるのか。


全ては、師匠次第。



どう足掻いても、これで決まる。