BAD & BAD【Ⅱ】





よかった。どこも怪我してなくて。

そう安堵しつつ、京ママを羽交い絞めして、動きを抑制させた。


遅れてやって来たたかやんが、京ママの手から無理やり椅子を奪い取る。



「師匠、大丈夫ですか!?」


「う、うん、なんとか……」



師匠の安全を確かめてから、京ママの首横に手刀で刺激を与えた。



電源が切れたみたいに気絶した京ママを、私とたかやんが支える。


最小限の痛みで、気を失わせたのだ。



次に目覚めた時には、酔いも冷めてると思う。




「剛、出てきていいよ」



私がそう呼びかければ、剛がビデオカメラを回しながら、キッチンの物陰から現れた。



「どう?ちゃんと撮れた?」

「完璧」


撮影を終了させて映像を見返した剛は、ニヤリと口角を上げた。



たかやんは京ママをソファに寝かせて、師匠が持ってきた毛布を京ママにかけてあげた。



「映像の編集もよろしくね」


「わかってるって。任せろ」



最後に私達が駆けつけた部分と不必要な部分を消したら、あとは京ママに見せるだけ。


京ママに自覚してもらうには、暴れている映像を見せるのが手っ取り早い。