よかった。どこも怪我してなくて。
そう安堵しつつ、京ママを羽交い絞めして、動きを抑制させた。
遅れてやって来たたかやんが、京ママの手から無理やり椅子を奪い取る。
「師匠、大丈夫ですか!?」
「う、うん、なんとか……」
師匠の安全を確かめてから、京ママの首横に手刀で刺激を与えた。
電源が切れたみたいに気絶した京ママを、私とたかやんが支える。
最小限の痛みで、気を失わせたのだ。
次に目覚めた時には、酔いも冷めてると思う。
「剛、出てきていいよ」
私がそう呼びかければ、剛がビデオカメラを回しながら、キッチンの物陰から現れた。
「どう?ちゃんと撮れた?」
「完璧」
撮影を終了させて映像を見返した剛は、ニヤリと口角を上げた。
たかやんは京ママをソファに寝かせて、師匠が持ってきた毛布を京ママにかけてあげた。
「映像の編集もよろしくね」
「わかってるって。任せろ」
最後に私達が駆けつけた部分と不必要な部分を消したら、あとは京ママに見せるだけ。
京ママに自覚してもらうには、暴れている映像を見せるのが手っ取り早い。



