善兄が教育実習する期間だけでも、不登校になりたい。
あ、でも、遅刻したりサボったりするのはいつものことだとしても。
こんなふざけた理由で不登校なんかになっちゃったりしたら、お母さんが鬼になって怒鳴り散らすかも。
それは嫌だなあ。
神様、助けて。……って、そうだ、神様はあてにならないんだった。
じゃあ、閻魔様、助けて。
「2週間、学校閉鎖にならないかな」
「無茶言うな」
今日が夏休み明け最初の登校日だとしても、問答無用で授業が行われた。
休みボケで通常よりも格段に体力を消耗し、夏休みは終わってしまったのだと痛感させられた。
やっと本日の授業が終了した、放課後。
教室に、朔がやって来た。
「一緒に帰るぞ、幸珀」
「おっ、ボディーガードらしいね」
「兄貴が放課後、手を出さねぇとは限らねぇからな」
今朝は始業式開始の時間が迫ったおかげで、善兄は私と別れてくれた。
つまり、朔はこれっぽっちも力にならなかったということだ。
まあ、なんとなく想像はしてたけど。



