BAD & BAD【Ⅱ】





残酷すぎて、憎ましい。




「最初はね、京くんにもついに反抗期が来たのかもって戸惑ってたの」



師匠はダイニングテーブルにおつまみを用意してあげると、京ママと向かい合う形で椅子に座った。



師匠に反抗期?

うわ、想像できない。


師匠には一生、反抗期は来ないんじゃない?



「でも、すぐに違うって気づいたわ」



静けさが宙を泳ぐ。


グラスに、口がつく。

アルコールが、京ママの喉を伝っていく。



「京くんは不良になっても、優しいままだった」


「母さん……」


「本当に、本当に、自慢の息子だわ。窓を開けて大声で叫びたいくらい」



朗らかな笑顔を浮かべながら、また日本酒を飲んだ。


グラスに注がれた分の日本酒を飲み干したら、すぐに2杯目を注ぐ。




「俺も、同じだよ」


「え?」


「俺にとって、母さんは自慢の母さんだ」