残酷すぎて、憎ましい。
「最初はね、京くんにもついに反抗期が来たのかもって戸惑ってたの」
師匠はダイニングテーブルにおつまみを用意してあげると、京ママと向かい合う形で椅子に座った。
師匠に反抗期?
うわ、想像できない。
師匠には一生、反抗期は来ないんじゃない?
「でも、すぐに違うって気づいたわ」
静けさが宙を泳ぐ。
グラスに、口がつく。
アルコールが、京ママの喉を伝っていく。
「京くんは不良になっても、優しいままだった」
「母さん……」
「本当に、本当に、自慢の息子だわ。窓を開けて大声で叫びたいくらい」
朗らかな笑顔を浮かべながら、また日本酒を飲んだ。
グラスに注がれた分の日本酒を飲み干したら、すぐに2杯目を注ぐ。
「俺も、同じだよ」
「え?」
「俺にとって、母さんは自慢の母さんだ」



