BAD & BAD【Ⅱ】





剛には、一刻も早くおじいさま呼びを直してほしい。


ロックな外見の剛がおぼっちゃまなことにさえ爆笑なのに、おじいさま呼びまでされたら、ツボに入って抜けなくなるから。



ほんっとに似合わないよ!

うさぎとドラゴンくらい、似合わないよ!


せめて「お」を消して、じいさまって呼んでよ。……いや、やっぱそれもウケるわ。あはは!




「ひぃー、笑いすぎてお腹痛い」


「このあと作戦を実行すんのに、緊張感のねぇ奴だな」


「えー、だって、剛がおじいさま呼びしたら笑っちゃわない?」


「笑わねぇよ」




師匠と同時に床に座ったたかやんが、オレンジジュースを飲みながら、横目に能天気だと言いたげに私を睨んでくる。


うっそだー。たかやんも内心笑ってるんじゃないのー?



剛が、首長の顔を眺めたくなくてチャンネルを変えたら、テレビから愉快な笑い声が響いた。


それに負けないくらいの賑やかさで、私達はしょうもないことを駄弁りながら団らんしていた。




気づけば、辺りはオレンジ色から藍色へ、塗り替えられていた。



暗くなったリビングに、師匠が電気を点けた。


私は明かりを漏らさぬようにカーテンを閉めながら、時計を見る。