BAD & BAD【Ⅱ】





壁についた小さな傷“跡”に、そっと触れてみる。



最近ついた傷かな。

何でどうやってついたのかはわからない。


だけど、この傷からわかるのは、壁をも傷つけるくらい京ママの暴走はひどい、ということだ。




そんな情報を今更掴んだって、さして意味はない。


作戦の実行が延期になることも、内容が変更になることもないのだから。



影響があるとすれば、私のやる気を上昇させたことくらいだ。




「弥生家をなんとかしよう大作戦のシミュレーションと最終確認して、京ママの帰りを待とうか」


「ああ、そうだな」



私の言葉に、たかやんが頷く。


師匠と剛も顔つきを険しくさせて、作戦への意志をあらわにした。




京ママの帰宅時間は、午後7時から10時。


つまり、京ママが家にやって来るのは、その3時間の間。なんちゅうアバウトな。もっと絞れなかったのか、師匠のバカ。



現在の時刻は、午後4時。最低でも3時間も余裕がある。これなら、たっぷり最終確認ができそうだ。


よどみなく作戦が進められるように、念入りに準備をしておきたかったからちょうどいい。