BAD & BAD【Ⅱ】





就けない、じゃなくて、就かないの間違いでしょ?


今日は日曜日なのに仕事をするなんて、学生の私にとってそれほど酷なことはない。



だって、それってつまり、日曜日に学校に行くってことでしょ?うわ、無理。考えただけでしんどくなってきた。



「2人とも、人ん家の前で喧嘩すんな」



たかやんが、私と剛の頭をペシッと叩いた。


痛っ!剛のせいで叩かれちゃったじゃん。



そうだ、これはたかやんの愛のムチだと思っておこう。そうすれば痛みの耐えられる。私ってば天才。




「さあ、どうぞ」

「おじゃましまーす」


鍵やパスワードのセキュリティーシステムを解除した師匠が、家の扉を開けてくれた。




踏み入れた師匠の家は、一言で言えば、シンプルだった。



決して殺風景なわけではないけれど、マンションの外装と同じ白で統一された家具や壁が、シンプルなおしゃれさを強調していた。


物静かさが漂う爽やかなこの家で、夜な夜な暴力が振るわれていたとは、あまり想像しにくい。



「綺麗に整頓されてるな」


「おっ、綺麗好きな清掃隊長に高い評価をいただきましたよ、師匠!よかったですね!」


「俺は別に、綺麗好きでも清掃隊長でもねぇよ!」