就けない、じゃなくて、就かないの間違いでしょ?
今日は日曜日なのに仕事をするなんて、学生の私にとってそれほど酷なことはない。
だって、それってつまり、日曜日に学校に行くってことでしょ?うわ、無理。考えただけでしんどくなってきた。
「2人とも、人ん家の前で喧嘩すんな」
たかやんが、私と剛の頭をペシッと叩いた。
痛っ!剛のせいで叩かれちゃったじゃん。
そうだ、これはたかやんの愛のムチだと思っておこう。そうすれば痛みの耐えられる。私ってば天才。
「さあ、どうぞ」
「おじゃましまーす」
鍵やパスワードのセキュリティーシステムを解除した師匠が、家の扉を開けてくれた。
踏み入れた師匠の家は、一言で言えば、シンプルだった。
決して殺風景なわけではないけれど、マンションの外装と同じ白で統一された家具や壁が、シンプルなおしゃれさを強調していた。
物静かさが漂う爽やかなこの家で、夜な夜な暴力が振るわれていたとは、あまり想像しにくい。
「綺麗に整頓されてるな」
「おっ、綺麗好きな清掃隊長に高い評価をいただきましたよ、師匠!よかったですね!」
「俺は別に、綺麗好きでも清掃隊長でもねぇよ!」



