「元気なら、私語せずにちゃんと聞け」
「はーい」
小泉パパはそう注意すると、教壇に戻っていった。
「幸珀が元気そうでよかった」
「善兄もさっさと行って!」
しっしっ、と即刻立ち去ってほしくて追っ払えば、善兄は柔らかく微笑んでから前の方へ引き返した。
相も変わらず、善兄の私に対する、あのおぞましい笑顔の威力は凄まじいな。
たまたまうっかり善兄の笑顔を見てしまい、流れ弾を食らったクラスメイトが近くに数名。ドンマイ。
「性格が丸ごとリセットできたら、最高なのになぁ」
「お前も男だったら、最高なのにな」
「女でも最高でしょ?」
「……」
「そこで黙らないで!」
聞き捨てならない。
たかやんの目は節穴?
まだ私の魅力に気づいていないなんて、鈍すぎるよ。
そりゃ、男装した私はたかやんよりイケメンだよ?
でも、普段の姿も輝いてるでしょ?



