いつもと違った場所で、合宿みたいなこんな雰囲気で、皆と食べるならやっぱりカレーライスがベターだよね。
皆が揃ったことを確認した師匠が「いただきます」と先駆けて言うと、皆一斉に手を合わせて繰り返した。
「いっただっきまーす!」
人一倍元気よく言った私は、スプーン片手にカレーライスを頬張った。
昼食を食べ終えたら、十蔵寺家所有の別荘を離れて、師匠の家に向かう。
ついに、弥生家をなんとかしよう大作戦が始動するのだ。
刻々と、時間が迫っている。
思っていたよりも、皆は落ち着いていた。
カレーライスの辛さも美味しさも、皆の話し声も笑い声も、クリアに届くほど。
なぜ、と問わずとも、理由はすぐにわかった。
「おい、京。口周りすげぇ汚れてるぞ」
「えっ、ほんと!?」
「ほんと」
師匠が、拍子抜けするくらい、いつも通りだからだ。
凛に口元を拭かれている師匠を纏う空気の質が、透き通っていて、清々しくて、どことなく昨日より大人びて見えた。
おそらく、錯覚というやつだろうけど。



