唇を尖らせながら、背中をさする。


周りを見渡せば、皆は布団も荷物も片付けたようで、思い思いに過ごしていた。



大部屋が、寝る前より格段に綺麗になってる。乱雑していたテーブルの上も、あちこちに放置してあった空き缶やお菓子のカスも、各所にあったゲーム機も、何もない。すっきりしてる。



清掃隊長であるたかやんが、いろいろと皆に指示したのかな。



「おはよう、幸珀」


「おはようございます」



朝から、師匠の仏様級のにっこりスマイルを拝められたおかげで、気分は爽快だ。



弘也への怒りも、睡魔も、一気に忘却の彼方へ。


よかったね、弘也。私に倍返しされなくて。師匠に感謝しなよ?




「たかやん、今何時?」


「午後1時」


「えっ、まだそんな時間?」


「まだ、だと?……お前、やべぇな」


「やばい?可愛すぎてやばいって意味?」


「異常だなって意味のやべぇだよ」




真顔で返されてしまった。

異常?どこが?