だけど、善兄相手にそれは無理難題すぎる。
だって、善兄が教室に来てから、ずっと私を凝視してるんだもん!
怖い、超怖い!
何あれ、監視!?
瞬きしてる!?
顔を真っ青にしながら、善兄の視線を避けるようにそっと教科書で顔の周りを覆った。鉄壁だ。これで善兄から私は見えないはず。
「お前って、ちょっと変な奴に好かれるよな。あいつとか、凛【リン】とか、京【キョウ】とか」
さりげなく凛と師匠を異常扱いしたね。
私も同感だよ。
凛のアイス好きと師匠の不良への憧れは、私も若干引いてる部分あるもん。
私って、男運悪いのかな。
はあ~、とどっぷりため息を吐いた途端、防御のための教科書を誰かが頭上から奪いやがった。
なっ、何をするんだ!私の大切な鉄壁を……!
顔を上げて鋭い目で、教科書を奪った犯人を睨んだ。
「話、ちゃんと聞いてたか?」
「こ、小泉パパ……!えっと、あの、あはは」
「笑ってごまかすな!」
犯人は小泉パパでしたか。
すみません、聞いてませんでした。
でも、これには海よりもふかーい事情があるんです!!



