BAD & BAD【Ⅱ】





だけど、善兄相手にそれは無理難題すぎる。




だって、善兄が教室に来てから、ずっと私を凝視してるんだもん!



怖い、超怖い!


何あれ、監視!?

瞬きしてる!?



顔を真っ青にしながら、善兄の視線を避けるようにそっと教科書で顔の周りを覆った。鉄壁だ。これで善兄から私は見えないはず。



「お前って、ちょっと変な奴に好かれるよな。あいつとか、凛【リン】とか、京【キョウ】とか」



さりげなく凛と師匠を異常扱いしたね。



私も同感だよ。


凛のアイス好きと師匠の不良への憧れは、私も若干引いてる部分あるもん。



私って、男運悪いのかな。




はあ~、とどっぷりため息を吐いた途端、防御のための教科書を誰かが頭上から奪いやがった。



なっ、何をするんだ!私の大切な鉄壁を……!


顔を上げて鋭い目で、教科書を奪った犯人を睨んだ。



「話、ちゃんと聞いてたか?」


「こ、小泉パパ……!えっと、あの、あはは」


「笑ってごまかすな!」



犯人は小泉パパでしたか。

すみません、聞いてませんでした。



でも、これには海よりもふかーい事情があるんです!!