BAD & BAD【Ⅱ】






「師匠が憧れている2次元も、ゲーム上の登場人物もフィクションなんですから、3次元を生きてる非力な人間が、ファンタジー設定のなんでもできるヒーローになれるわけないじゃないですか」


「だけど、パーカーマンは無敵のヒーローだよ?」


「私は師匠や他の皆と違って、特別なんです」




はちゃめちゃ軍団と一緒にしないでほしい。

素材が違うんだよ。



特別仕様な私だって、できないことくらいある。


現に、以前、ヒーローになれなくて悪役になった。




ガッツがあればどんなことだってできる、そういうド根性精神が通用するのは、フィクションの中だけ。


がむしゃらに頑張ったって、報われないことはいくらでもある。そりゃあもう、数え切れないくらい、たっくさん。



それが、非常に残念ながら、不平等と理不尽で塗り固められた現実というものだ。




けどね、報われることだって、ちゃんとあるんだよ。




「憧れたりしょぼくれたりするのは一向に構いませんが、今まで独りで懸命に頑張ってきたのに、そう簡単にあきらめないでください」


「あきらめてなんかないよ!」



師匠の反論が大部屋に響いて、私は密やかに口角を上げる。



「……あきらめたくないから、皆に『助けて』ってお願いしたんだ」


「だったら、暗い顔しないでください」


「痛っ」



人差し指で、師匠の額をツンと弾いた。