BAD & BAD【Ⅱ】






「……でも、無理だった」


「師匠……」


「母さんを変えることも、傷を無くすこともできなかった」



現実は、残酷だ。


どれだけ良いことをしていても、いたずらに幸せを奪っていく。



「俺は、勇者のようなヒーローには、一生なれないのかな……?」




例えるなら、きっと。

誕生日プレゼントのゲームが、師匠の努力の素で、悲鳴を押さえつける枷だった。



だけど、ゲーム機が破壊されて。


割れた画面から、キラキラ輝いていた努力の素が消えて、我慢と良心と悲嘆を縛っていた枷が砕かれて。



たがが外れたのだろう。



俺ならできる、なんとかなる。

そう自己暗示していた呪いが解け、昔から飲み込んでいた涙が絶え間なくこぼれていった。




目を背け続けてきた現実は、ゲームのように思い通りにはいかない。




「悲劇のヒロインぶらないでください、師匠」


「ヒロイン?俺、男だよ?」



真面目に返さないでください。


ここは、誰がヒロインだ!、とつっこむところです。