BAD & BAD【Ⅱ】





ここはツッコミをかますところでしょ!

塩対応しないで!



「そのゲームは、異世界冒険RPGで……」



師匠も普通に語り続けちゃうんですね。



たかやんから師匠への華麗な流れ技で、あっさりあしらわれた。


私と桃太郎は怒る気が失せて、渋々弘也を殴ろうとした腕を下ろした。




「ゲームの主人公である勇者は、俺と同じような苦しみを味わいながらも、前向きに“ヒーロー”をしてて。なんだか、キラキラして見えた」



ゲームのストーリーに感情移入してのめり込んでしまうところが、実に師匠らしい。



ていうか、異世界とか勇者とか、どこかで聞いたような…………あっ!昨日、師匠と弘也と真修がやってた茶番劇だ!


もしかして、あの茶番の題材って、今師匠の言ったそのゲーム?



点と点が繋がって、思わず苦笑した。



「そんなゲームの世界観と主人公に、気づいたら強い憧れを抱いてた。主人公みたいにかっこいいヒーローになれれば、俺の傷も苦しさも、全部どうにかなると思った」



相変わらず、師匠は影響されやすい性格をしている。


ゲームの主人公に、そこまで自分を照らし合わせられるなんて、さすがとしか言い様がない。



師匠の憧れ意識は、想像していたよりもずっと熱くて、根深くて、凄まじい。