ここはツッコミをかますところでしょ!
塩対応しないで!
「そのゲームは、異世界冒険RPGで……」
師匠も普通に語り続けちゃうんですね。
たかやんから師匠への華麗な流れ技で、あっさりあしらわれた。
私と桃太郎は怒る気が失せて、渋々弘也を殴ろうとした腕を下ろした。
「ゲームの主人公である勇者は、俺と同じような苦しみを味わいながらも、前向きに“ヒーロー”をしてて。なんだか、キラキラして見えた」
ゲームのストーリーに感情移入してのめり込んでしまうところが、実に師匠らしい。
ていうか、異世界とか勇者とか、どこかで聞いたような…………あっ!昨日、師匠と弘也と真修がやってた茶番劇だ!
もしかして、あの茶番の題材って、今師匠の言ったそのゲーム?
点と点が繋がって、思わず苦笑した。
「そんなゲームの世界観と主人公に、気づいたら強い憧れを抱いてた。主人公みたいにかっこいいヒーローになれれば、俺の傷も苦しさも、全部どうにかなると思った」
相変わらず、師匠は影響されやすい性格をしている。
ゲームの主人公に、そこまで自分を照らし合わせられるなんて、さすがとしか言い様がない。
師匠の憧れ意識は、想像していたよりもずっと熱くて、根深くて、凄まじい。



