内側を晒すのは、とてもとても辛いだろう。
でも、そうすると決めたのは師匠自身だ。
だったら、途中放棄せずに、最後までやりきらないといけない。
その代わり、私達も最後までちゃんと聞いてあげる。
……難しい?
ううん、きっと、難しくない。
もしも難しいと感じているのなら、それは単なる勘違いだ。
潜めていた内側を、私達に明かすだけ。
それだけのことなのだから。
どのくらい経っただろうか。
30分か、それともたった1分だったのか。
ここにいる誰もが、空白の面積なんか気にも留めていなかった。
それくらい真剣に、ただただ静かに、私達は師匠のことを見守っていた。
長さの不明な沈黙を、師匠の細い吐息が断ち切った。
吐き出された息に、師匠の弱さと強さが垣間見えた気がした。
「母さんはね、普段はすごく優しくて、自慢の母親なんだ。……なのに、お酒を飲むと、乱暴で暴力的になる」
続きが紡がれる度、師匠の叫びが心臓に直接轟く。
助けて、助けてって叫びが、何度も。



