BAD & BAD【Ⅱ】





でも、1人では無理でも2人なら、あの曲者を黙らせられるかもしれない。


だから、朔はもっとしっかりしてほしい。切実に、もっと頼れるボディーガードになってほしい。私より強くなってこい。




ちなみに、真修は善兄を尊ぶことをやめた程度で、私や朔よりは嫌っていないようだ。




「昨日いきなりこっちに戻ってくるって連絡してきたけど、なんで兄貴がここにいんだよ」


「幸珀、今から2人きりになれる場所に行こうか」


「行くわけないでしょうが、この変態っ」


「だから、俺を無視すんなっつってんだろ!?」




昨日実家に戻ってきたの?


この間廃校で会った時は、わざわざこの町に足を運んだってこと?




そういえば、あの時。


『……まいっか。どうせもうすぐわかることだし』


なんてことを、言っていた。



今スーツ姿でここにいることと、手紙に綴ったらしい『もうすぐわかること』は、無関係じゃなさそうだ。




8月下旬に、廃校で善兄と対峙したことは、朔には話していない。



NINAのことは、話したくなかった。


NINAは、円堂家にとって大切な名前だから、幼なじみであってもペラペラ喋りたくない。



それに、善兄のことを報告するのは、いつだって苦しくて不快で。

あの時のことは、もう、無かったことにすると決めた。




「どうして善兄がここにいるの?」


「教育実習しに来たんだ」


「……俺が聞いた時は答えなかったくせに、このやろう」



え?

善兄が、教育実習生?


まじっすか?