た、多分、師匠は涙もろくなっちゃってるだけだよ。
皆のトゲトゲした視線が痛い。
ちょっ、皆、誤解しないで!
弘也までそんな目で見るな!お前はこっち側だろうが!
「こんなに弱かったなんて、ダメだなぁ……」
師匠は、胸元とお腹らへんをパーカー越しに掴みながら、輪郭に涙を滑らせた。
笑おうとしてるけど、笑えていない。
苦しくて仕方がなさそう。
ここで、私が師匠にかけられる言葉は、ない。
師匠自身が、どうにかしなくてはいけない問題なのだから。
あっ、そうだ。今こそ、桃太郎のハンカチの出番だ!
さあ、私の代わりに師匠を慰めてやってくれ、ハンカチくん!!
「師匠、こ、これ……」
「……けて」
「え?」