BAD & BAD【Ⅱ】





弘也と凛に呆れながら、心配で師匠を見つめる。



師匠は俯いているから、どんな表情をしているのか、よくわからなかった。


でも、ポタリポタリと落ちた涙が床にシミを作っていて、師匠の嘆きだけは痛いほど伝わってきた。




それほど大切で、大好きで、お気に入りのプレゼントだったんだな。




「ねぇ、弘也」


「なななななに?」


「声震わせすぎでしょ」


「だ、だってぇ」


「涙ぐまないで。今辛いのは、あんたじゃなくて師匠なんだからね」




そう厳しく言うと、弘也は震えを強引に押さえ込むように、ギュッと拳を握り締めた。


ちょっとはマシになったね。




「それで、な、なに?」


「弘也は、何年かかってもゲーム機を完全に修復して償うか、弘也自身がゲーム機になって師匠の辛さを少しでも紛らわせるか、どっちがいい?」


「どうしてその2択!?」


「現実的に考えるなら、修復だけど……」


「現実的じゃなくても、そっちを選ぶっしょ!」