「弘也の代わりに俺が弁償してやるよ」
「剛様……!」
ブラックカード片手にセレブ風を吹かせる剛の隣で、弘也は感謝の気持ちに浸りながら剛を拝んだ。
まあ、剛ならゲーム機の1つや2つ、なんなら100個くらい買えちゃうだろうね。
いいなあ。私もついでに何か買ってもらいたいな。
一件落着しそうだった雰囲気は、弱々しく首を横に振った師匠によって、再び暗く沈んでいった。
「えっ、どうしてですか師匠!」
どうして断るんですか?
せっかく買ってもらえるんですよ?
そりゃ、タダより高いものはないって言いますけど、元はといえば弘也が悪いわけですし、買ってもらえばいいじゃないですか。
断る理由がありません!
「……っ、代わりなんて、ないんだ」
「え?」
「これは、昔、母さんがくれた誕生日プレゼントだから」



