BAD & BAD【Ⅱ】






「弘也の代わりに俺が弁償してやるよ」


「剛様……!」



ブラックカード片手にセレブ風を吹かせる剛の隣で、弘也は感謝の気持ちに浸りながら剛を拝んだ。



まあ、剛ならゲーム機の1つや2つ、なんなら100個くらい買えちゃうだろうね。


いいなあ。私もついでに何か買ってもらいたいな。




一件落着しそうだった雰囲気は、弱々しく首を横に振った師匠によって、再び暗く沈んでいった。



「えっ、どうしてですか師匠!」



どうして断るんですか?

せっかく買ってもらえるんですよ?


そりゃ、タダより高いものはないって言いますけど、元はといえば弘也が悪いわけですし、買ってもらえばいいじゃないですか。



断る理由がありません!




「……っ、代わりなんて、ないんだ」


「え?」


「これは、昔、母さんがくれた誕生日プレゼントだから」