弘也まで泣き出しそうなんだけど。
それは困る。面倒くさい。
お前も泣いてどうすんだ。お前は泣くな。泣いたら終わりだと思え。
師匠は被害者だし、別にいいよ?どうぞ泣いてください。弘也をぶん殴って、悲しみを発散させるのもいいと思います。その時は、私が記念に写真を撮ってあげましょう。
「やべぇよ。まじやべぇ。やべぇって、ほんとに。とにかくやべぇ!どうしよ、やっべぇよまじで!!」
「お前の語彙力がやべぇよ」
たかやんがキレよくつっこまなかったら、怒鳴ってたところだった。
やべぇしか言ってないじゃん。うるさいよ。
「安心しろ、京。コレで新しいの買ってやる」
「そっ、それは……!」
剛のポケットから取り出された黒色のカードに、私は仰天した。
あれは世に言う、幻のブラックカードじゃないか!こんなところでお目にできるなんて!
ずっとポケットに入れてたの?なんのために!?
絶対必要ないよね?バカじゃないの?
もしかして、それで飲み物を大量購入したの?
2回目だけど……バカじゃないの!?
「ここでブラックカードを出すとは、theお金持ちだね」
「幸珀には到底持つことのできない代物だ。この機会にじっくり眺めておけよ」
「憎ったらしい!」
私の目の前で、ブラックカードをひらひら見せびらかすのやめろ。
わざわざそんなことしないで。迷惑だ。



