BAD & BAD【Ⅱ】





弘也まで泣き出しそうなんだけど。

それは困る。面倒くさい。


お前も泣いてどうすんだ。お前は泣くな。泣いたら終わりだと思え。



師匠は被害者だし、別にいいよ?どうぞ泣いてください。弘也をぶん殴って、悲しみを発散させるのもいいと思います。その時は、私が記念に写真を撮ってあげましょう。




「やべぇよ。まじやべぇ。やべぇって、ほんとに。とにかくやべぇ!どうしよ、やっべぇよまじで!!」


「お前の語彙力がやべぇよ」



たかやんがキレよくつっこまなかったら、怒鳴ってたところだった。


やべぇしか言ってないじゃん。うるさいよ。




「安心しろ、京。コレで新しいの買ってやる」


「そっ、それは……!」



剛のポケットから取り出された黒色のカードに、私は仰天した。



あれは世に言う、幻のブラックカードじゃないか!こんなところでお目にできるなんて!



ずっとポケットに入れてたの?なんのために!?


絶対必要ないよね?バカじゃないの?


もしかして、それで飲み物を大量購入したの?



2回目だけど……バカじゃないの!?



「ここでブラックカードを出すとは、theお金持ちだね」


「幸珀には到底持つことのできない代物だ。この機会にじっくり眺めておけよ」


「憎ったらしい!」



私の目の前で、ブラックカードをひらひら見せびらかすのやめろ。


わざわざそんなことしないで。迷惑だ。