師匠は、持っていたゲーム機を足元に落としただけだったので、気にしてなさそうに眉尻を下げる。
「いや、大丈夫だよ」
優しいな、師匠は。
それに比べて、弘也ときたら……。
「そっかあ、よかった~」
反省の色が全く窺えないまま、お酒が回ってきた体でゆらりと一歩、私達から離れていく。
その直後。
バキッ!
崩壊音が、大部屋に響いた。
「……え?」
不穏な音によって、弘也の酔いが急激に冷めて、我に返る。
い、嫌な予感しかしない。
大部屋にいる全員が、シーンと静まっていた。
「ま、まさか……!」
静寂を破った、桃太郎の呟き。
皆の脳裏には、ひとつの確信に近い予想が巡っていた。



