BAD & BAD【Ⅱ】





師匠は、持っていたゲーム機を足元に落としただけだったので、気にしてなさそうに眉尻を下げる。



「いや、大丈夫だよ」



優しいな、師匠は。

それに比べて、弘也ときたら……。



「そっかあ、よかった~」



反省の色が全く窺えないまま、お酒が回ってきた体でゆらりと一歩、私達から離れていく。




その直後。



バキッ!

崩壊音が、大部屋に響いた。





「……え?」




不穏な音によって、弘也の酔いが急激に冷めて、我に返る。



い、嫌な予感しかしない。


大部屋にいる全員が、シーンと静まっていた。



「ま、まさか……!」



静寂を破った、桃太郎の呟き。


皆の脳裏には、ひとつの確信に近い予想が巡っていた。