私とたかやんで弘也を挟み込んで、一斉に枕を投げちゃえ作戦でやっつけようと、弘也に近寄っていく。
しかし、弘也はちょこまかと動いて、なかなか距離を縮められない。
酔ってるくせに、体が鈍くなっていない。
身軽というか何というか。
あいつの前世は、みかん色の野良猫だったに違いない。今度、にぼしで餌付けでもしてみようかな。
「幸珀の思い通りになんかならないもんねー」
弘也が舌を出しておちょくってくる。
むっかつく。
「たかやん、あの精神年齢5歳をさっさと殺ろう。起き上がれなくなるくらい、容赦なく殺っちゃおう」
「イラつくのはわかるが、殺伐とすんな。殺気が痛ぇよ」
弘也を壁際まで追い込むために、私はたかやんと一緒に、ゆっくり慎重に弘也との距離を詰めていく。
このまま枕攻撃を仕掛けて、倒させてもらおうか……!
迫られてもお酒パワーでへらへらしている弘也は、素早く私とたかやんの背後を取ってやろうと、一旦逃げようとする。
だが、
「うわっ」
「あ、悪ぃ~」
その途中で、絶賛ゲーム中の師匠にぶつかり、ゆるく謝った。
うわ、悪気感じてなさそう……というか、あれどう見ても感じてないよね?もっと誠心誠意謝れ!



