BAD & BAD【Ⅱ】





私とたかやんで弘也を挟み込んで、一斉に枕を投げちゃえ作戦でやっつけようと、弘也に近寄っていく。


しかし、弘也はちょこまかと動いて、なかなか距離を縮められない。



酔ってるくせに、体が鈍くなっていない。


身軽というか何というか。



あいつの前世は、みかん色の野良猫だったに違いない。今度、にぼしで餌付けでもしてみようかな。



「幸珀の思い通りになんかならないもんねー」



弘也が舌を出しておちょくってくる。

むっかつく。



「たかやん、あの精神年齢5歳をさっさと殺ろう。起き上がれなくなるくらい、容赦なく殺っちゃおう」


「イラつくのはわかるが、殺伐とすんな。殺気が痛ぇよ」



弘也を壁際まで追い込むために、私はたかやんと一緒に、ゆっくり慎重に弘也との距離を詰めていく。



このまま枕攻撃を仕掛けて、倒させてもらおうか……!


迫られてもお酒パワーでへらへらしている弘也は、素早く私とたかやんの背後を取ってやろうと、一旦逃げようとする。




だが、



「うわっ」


「あ、悪ぃ~」



その途中で、絶賛ゲーム中の師匠にぶつかり、ゆるく謝った。


うわ、悪気感じてなさそう……というか、あれどう見ても感じてないよね?もっと誠心誠意謝れ!