昔はこんなこと、しょっちゅうあったな。



思いっきりドジしちゃっておろおろしてた真修を、私と朔が世話してあげていたんだっけ。


池に落ちた真修を助けたり、牛乳を買うだけのおつかいでなぜか牛タンを買おうとしてたり、近所のおばさん達の名前を片っ端から間違えたり……。




「なんか、懐かしいなぁ」


「へ?」


「ん?」


「懐かしいって、何が?」


「……声に出てた?」


「気づいてなかったの?」




まじか。全然気づかなかった。

心の声を発してたなんて、恥ずかしすぎる!



「ちょっと、昔のことを思い出してさ」


「昔のこと?」


「うん。小学生の頃、私と真修と朔の3人でよく遊んだことが、急に懐かしく感じたんだ」



たまに善兄も連れ出して、幼いながらにわいわいはしゃいでいたよね。



だけど、私が悪くなった“あの日”を堺に、3人で遊ぶ機会が徐々に減っていった。



男女の違いを意識し出したからだとか、3人で遊べる時間がなくなったからだとか、バカみたいに遊ぶことに飽きたからだとか。


そんな言語化できる論理的な理由は、特になかったと思う。



ただ、自然とすれ違って、なんとなくお互いに連絡を取らなくなって、気づいたらあまり会わなくなっていた。