現在、この別荘には、私達神雷しかいない。
元々いた管理人やメイドは、私達が気兼ねなく別荘での生活を楽しんでもらえるようにと気を遣って、私達が滞在する2日間だけこの別荘を離れてもらっている。
浴衣やタオルなどの下準備はされてあったが、こういう飲食や布団などは、私達側が支度しなければいけない。
それを、真修が率先してやっていてくれたんだ。
ジェントルマンの気配りは、尊敬に値するよ!
「それ、なんの紅茶?」
「アールグレイだよ」
「名前は聞いたことある!」
柑橘系のいい匂いに、癒される。
飲むだけで貴族になれちゃいそうなくらい、美味しそう。
「紅茶淹れるのうまいね」
「調べたりして、美味しくなるよう努力してるから。それに、慣れてるからね」
「慣れてる?なんで?その道のプロにでもなったの?」
「なってないよ」
スマホをズボンのポケットにしまった真修は、カラカラと笑いながら、ティーカップに紅茶を注ぐ。
愛想笑い、へったくそだな。もっと気持ち込めろよ。



