わかりやすくムッとしてる凛を横目に、つい笑みをこぼしてしまった。
まったくもう。可愛いなあ。
人気者は大変だ。
「ねぇ、真修。師匠の怪我、診てくれた?」
「うん、一応冷却してテーピングしておいた。そんなに重症ではなかったから、痛みが引き次第、すぐに歩けるようになると思うよ」
やっぱり、真修は医療のプロフェッショナルだと思ったんだ!
真修ならできるって思ってたよ。
でも……真修のその様子だと、師匠は真修に傷だらけの体を手当てしてもらわなかったんだろうな。
頑なに秘密にするのはいいけど、痛いのは変わらないんだから、事情は話さずに応急処置だけしてもらえばよかったのに。
……ま、いっか。
師匠が通常運転ってことは、そこまで痛くないってことだろうし。
今は、トップになった余韻に浸っておこう。
結果、神雷メンバーがぶつかり合ったサバイバルなアスレチックレースは、様々な障害や熱い闘争を巻き起こした。
最後は、情のかけ引きであっけなく私が1位をもぎ取り、優勝賞品である「なんでも1つ願いを叶える権」は私のものとなって、激動のレースは幕を閉じた。



