大逆転で優勝した私は、私以上に嬉しがっている師匠の元に駆け寄った。
真修か下っ端が用意してくれたらしい椅子に座っている師匠と同じ目線になって、ニッと歯を覗かせながら笑った。
どうですか、師匠。
私、やりましたよ?
師匠は抑えきれなくなったみたいに、無邪気に私を抱きしめた。
「し、師匠?」
「約束を守ってくれてありがとう!」
なんだか、今日だけは師匠と弟子を交換したいみたいな気分だ。
くすぐったくて、照れくさくて、それでいて心が踊る。
師匠を抱きしめ返そうとしたら、
「くっつくな」
「凛!?」
なぜか凛に無理やり、師匠から引き剥がされた。
いきなりびっくりした。
なに?どうしたの?
……あっ、わかった。もしや、ヤキモチ?



