BAD & BAD【Ⅱ】





私は近くに落ちていた、長くて頑丈そうな木の枝を拾った。



吊り橋の入口の両脇に1本ずつそびえている樹木の幹から、同様に出口にもある2本の樹木まで繋がれている、2本のケーブルが曲線を描きながら吊り橋を支えている。



私の身長より少し高めの位置に結ばれたそのケーブルには、ジャンプすれば余裕で届く。


そのケーブルに頑丈で長めの枝を引っ掛けて、ケーブルのカーブを利用して、吊り橋の半分まで一気に移動する。



それが、私の奥の手。




ちょっと危ないかもだけど、師匠との約束のために裏技を使っちゃおう。



私は助走をつけて、吊り橋の入口で勢いよく跳んだ。


ケーブル上に木の枝を滑らせ、ロープウェイのように、予定通りに吊り橋の真ん中辺りまですぐに行けた。



「やった、成功だ!」



私って、忍者の生まれ変わりなんじゃないの?


自分の天才的才能に惚れ惚れしちゃう。



自画自賛しながら、残りの距離を敏感に警戒しつつ、早足で渡りきった。



「ふぅ、よかったぁ」



木の枝を森に返して、凛と弘也を追いかけた。