得策が浮かび、意気揚々と笑う。
「下じゃなくて、上を行けばいいんだ……!」
雲梯の1番手前の鉄の棒を、両手でしっかりと掴む。
軽い身のこなしで体を持ち上げ、棒の上に足を乗っけた。
雲梯の上に立って、そのまま棒と棒の間から落ちないように注意しながら、リズムよく素早く前進していった。
ぶら下がるより、こっちの方が断然楽で速い。
「のろのろ桃太郎ちゃん、お先に~」
「くっそ、ムカつく!」
桃太郎にドヤ顔しながら、颯爽と長い雲梯の終着点にたどり着き、雲梯から飛び下りた。
いち早く雲梯を攻略した私は、1本のロープが垂らされてある心臓破りの急な坂を、ロープを頼りに上って。
足の幅より細い丸太で造られた平均台を難なくクリアして、だんだんと先頭との距離を縮めていった。
凛と弘也は、一体どこまで進んでるの?
これだけ走っても、背中すら見えない。
スピードを落とさずに走っていたら、また道と道の間が凹んでいて、咄嗟に立ち止まった。
今度のは、溝ではなく、正真正銘の崖。
好奇心で崖下を覗いてみたら、予想以上に険しくて、思わず「おお……」と生唾を飲み込んだ。



