背筋に悪寒を感じながら、恐る恐る振り返る。
そこにいたのは、
校門から校舎までの広くて短い道の真ん中を、モテオーラを存分に散布しながら歩いている、愛想など微塵もない1人の男。
「う、嘘、でしょ……?」
「俺も嘘だと思いてぇが、どう足掻いてもこれは現実だ。あきらめろ」
彼を一目見た者は老若男女問わず、彼の圧倒的なイケメンさと神々しさにハートを射抜かれ、虜になってしまう。
ただし、私と朔と真修【マシュウ】の幼なじみ組を除いて。
「うっわ、何あのイケメン!やばー!」
「弘也が霞むな」
「霞まないし!僕の方がかっこいいし!」
「いや、さすがにそれはねぇわ」
「マジレスきっつ~」
弘也と剛が早速、彼の魅惑的な迫力に釘付けになっている。
「2人の知り合いなのか?」
「う、うん、まあ……」
私と朔の会話をずっと聞いていたたかやんに尋ねられ、歯切れの悪い答え方をする。
彼は、知り合いになりたくなかった知り合いです。



