BAD & BAD【Ⅱ】





桃太郎、まだこんなところにいたんだ。もっと先かと思ってた。


雲梯で苦戦してる感じ?




「落とし穴に落っこちた、まにゅけな幸珀じゃねぇか」


「そこで噛むなよ、剛」


「間抜けな幸珀じゃねぇか!」


「無かったことにして言い直すな」




剛とたかやんもいる。



さすが、たかやん。雲梯していてもツッコミがきれっきれだ。


剛は……うん、相変わらずアホだ。




ここで追い抜けば、トップになれる可能性が高くなる。チャンスだ。


でも、ぶら下がりながら移動していたら、距離的に桃太郎は抜けない。



この雲梯に足止めを食らってる暇はないんだ。




思考回路を巡らせて、誰よりも早くここを通れる方法を探す。



近道は反則だけど、障害を乗り越えさえすれば、何をしても自由。


定義もルールも常識も、今は関係ない。