桃太郎、まだこんなところにいたんだ。もっと先かと思ってた。
雲梯で苦戦してる感じ?
「落とし穴に落っこちた、まにゅけな幸珀じゃねぇか」
「そこで噛むなよ、剛」
「間抜けな幸珀じゃねぇか!」
「無かったことにして言い直すな」
剛とたかやんもいる。
さすが、たかやん。雲梯していてもツッコミがきれっきれだ。
剛は……うん、相変わらずアホだ。
ここで追い抜けば、トップになれる可能性が高くなる。チャンスだ。
でも、ぶら下がりながら移動していたら、距離的に桃太郎は抜けない。
この雲梯に足止めを食らってる暇はないんだ。
思考回路を巡らせて、誰よりも早くここを通れる方法を探す。
近道は反則だけど、障害を乗り越えさえすれば、何をしても自由。
定義もルールも常識も、今は関係ない。



