私は数回深呼吸してから、再び上へ上へ動き出した。
背中でフレーフレーと応援してくれてる師匠の陽気さに、なおさら疲労が溜まる。
応援はありがたいんですが、できれば静かにしてください。
「……はぁ、はぁ……や、やっと、着いた……」
なんとか登りきった私は、肩で息をしながら地面に師匠を下ろした。
つ、疲れた。重かった。遠かった。
ひ弱な乙女に、なんて重労働をさせるんだ。
あー、ひんやり冷たいアイスが食べたい。
汗びっしょりな額を右袖で拭って、息をゆっくり整えていく。
「師匠、ここに誰かが来たら、スタート地点に連れて行ってもらってくださいね」
「わかった」
まだ下っ端数人がここを通過していないはず。
そいつらに師匠を任せよう。
「では、行ってきます」
「頑張ってね!」
「はい!!」



