「だけど、俺はレースで優勝したいんだ。あきらめられないよ」
「それなら、私が師匠の代わりに優勝して師匠の願いである、皆でオールでゲーム大会の開催を叶えます」
最初から1位の座は狙っていたし、願いは決まっていなかったし、ゲームは大好きだからちょうどいい。
「それじゃあ、ダメですか?」
「……いいの?」
「こっちが聞いてるんですけど」
「ありがとう、幸珀!俺は最高な弟子を持って幸せだよ!」
師匠は、私の示した交換条件に花が咲いたように喜んだ。
幸せなのはいいんですが、首っ、首絞めてます!ギ、ギブギブ、苦しいです~~!!
一度動きを止めて、きつくなった師匠の腕を何度か右手で叩いたら、ようやく師匠が我に返って腕を緩めてくれた。
あ、危なかった。呼吸ができるって素晴らしいな。
「死ぬかと思った……」
「あはは、ごめんごめん」
「笑いごとじゃないですよ」
師匠が怪我人じゃなかったら、同じことをやり返してる。



