朔と学校で会うことは滅多にないけど、私も朔もサボりが基本スタイルだから、朝に遭遇する確率はさらにレアだ。




「おはよ。朔も朝から登校してるなんて珍しいね。真面目キャラに変更したの?」


「俺は真面目ぶってないだけで、元々真面目だ」


「今日エイプリルフールじゃないよ?」


「嘘じゃねぇよ!」


「あんたは真面目じゃない。不良だよ。はい、話終わりー。で、本当の理由は何?」




強引に話題を変える。


言い足りなさそうにムッとする朔は、気難しい表情をして、ガシガシ前頭をかいた。



「……どうしても来なきゃなんなかったんだよ」


「どういう意味?」



そう聞いた瞬間。


校門近くから、男女混同の黄色い声が、はちきれんばかりに飛び交った。



うっさいなあ。いきなり何?



「なんだ~?」

「芸能人でも来たのか?」



弘也と剛が興味津々に、校門近くに視線を移した。


誰かに注がれている甘ったるい悲鳴に、朔は複雑そうに眉をひそめた。




「あいつが、戻ってきちまったからな」


「あいつ?」


「兄貴だよ」



兄貴って、ま、まさか……!?