地面と落とし穴の枠の境目が半壊し、雪崩た土砂に足をすくわれた師匠は、否応無しに落とし穴の底へ誘われた。


師匠の真下にいた私も巻き添えを食らってしまい、せっかく半分まで登ったのにふりだしに戻ってしまった。




「いたたた……」



うまく受け身を取れなくて、背中からネットに突っ込んじゃった。失敗だ。



またしてもネットに助けられた。


ありがとう、ネットさん。いい仕事をしてくれるね。



「いった!」

上から落ちてきた小石が、私の頭に直撃した。



この落とし穴は、一度はまった者は出させないっていう呪いでもかかってるの?それとも、私に恨みでもあるの?


随分と、落とし穴に好かれちまったもんだ。



私の今日の運勢、そんなに悪かったのかな。不運すぎやしないか?


ちゃんと朝の占いをチェックして、ラッキーアイテムを常備しとけばよかった。




ため息をひとつこぼしながら、服や髪についた砂を払う。

また登り直さなきゃ。



「師匠、大丈夫ですか?」


「あっ、……う、うん!」




10月生まれの、そこのあなた。


今日の運勢は最悪。自然豊かな山に牙をむかれるかも。外出は控えましょう。




頭の内側から、私宛のオリジナルの占いが通達された気がした。