し、師匠!?



そういえば、レース開始直後の師匠は先頭集団の少し後ろで、たかやんといい勝負してたはず。


だけど、たかやんと同タイミングでここを通過したのは、スロースターターな剛。



今の師匠の息ひとつ乱れていない呼吸から察するに、おそらく師匠は綱渡り前か後で休憩していたのだろう。


だから、師匠はここに来るのがこんなに遅くなったんだ。




最下位集団ではトップだけど、全体的に言えば下の下ですよ、師匠。


それに、オールでゲームしたいっていう願いはどうしたんですか。



多分、ほんのちょっと休憩するつもりが、思いのほか長く休息していたんだろうな。師匠らしいや。




「なんだか大変そうだね」


「はい、とても。必死に登るので忙しいので、できれば話しかけないでくれませんか?」


「崖っぷちなんだね、パーカーマン!」


「今、パーカーマン関係ないですよね?」




いくら、漫画でよくある古典的なヒーローの絶体絶命な状況に似てるからって、急に目をキラキラさせて熱くならないでください。


私、忙しいって言いましたよね?