はてさて、ブイサインまでして強がっちゃったけど、どうやって落とし穴から脱出しようかな。
実は、全く方法が思いついていないのだ!
はしごも綱も棒も、使えるような物は何もない。ここにあるのは、ネットだけ。
「うーん、やっぱ、登るしかないのかな」
この高い、土の壁を?
素人がロッククライミングできるのか?
最後まで登りきれるか不安だなあ。途中でギブアップしちゃったらどうしよう。
そう考えている内に、桃太郎やたかやんや剛や下っ端達が私のはまった穴を通り過ぎていく。
たかやんも剛も、私を一瞥してフッと笑い、スルーして行ってしまった。腹立つな。
2人とも、態度悪すぎでしょ。少しは助ける素振りを見せてくれよ。これだからモテない男は困るんだ。
……おっと、脱線してしまった。
非リアな2人のことなんか、今はどうだっていいんだ。
今のところ落とし穴に落ちたのが私だけなのが、異様に悔しくて、羞恥心をくすぐる。
これじゃ、私が間抜けみたいじゃん。
どうしてこんな時だけ、神雷のかっこいいブランドイメージを連想させるの。
それなりに運動できますよ感を出すなよ。普段、ぎゃーぎゃーおかしなことばっかりやってるくせに。誰か落ちろや。



