「俺のサンドバッグうううう!!」



遠くから、桃太郎の声が響いた。


桃太郎も、あの溝を超えたらしい。うかうかしてられないな。



それにしても、変なこと叫んでんじゃないよ、おチビさん。誰がサンドバッグだ。お前を私のサンドバッグにしてやろうか。



「やばっ、桃太郎来んじゃん」


「幸珀、1人で大丈夫か?」


「ダイジョーブ!このくらい、私の力でなんとかできるよ」



不敵にブイサインをして、楽勝アピール。



私を誰だと思ってんの?最強無敵の幸珀様よ?


落とし穴で動じるわけないでしょ?

恥ずかしさは一切消えてないけど。




「そっか。じゃあ、先行ってるな」


「すぐ追いついてやるから待ってなよ!」


「また落とし穴に落ちるなよ~?」


「二度も落ちんわ!!」




凛と弘也がゴールを目指して先に走り出し、私は1人ここに取り残された。