BAD & BAD【Ⅱ】





お互いに手を伸ばしただけじゃ、届くわけがない。


落とし穴は、それほど深いんだ。



「あとちょっとなのに」


「これのどこがちょっとだ。ちっとも惜しくないよ」



あんたの距離感、どうなってんだよ。


それとも、私の腕がキリンの首みたいに長いとでも思ってたの?それはそれでひどいな。




「凛、そこで何して……って、うわー!?こ、幸珀!?」


「弘也も追いつきやがった。くそっ。もっと綱渡りで手こずれよ自己中野郎」


「本音ダダ漏れてるよ~。わざと?わざとなの?」



せっかくトップ独走してたのに、落とし穴で足止めくらったせいで早くもトップ陥落。短い1位だった。




「幸珀、落とし穴に落っこちたの?」


「笑うな」


「だっさ~」


「やかましいわ」




恋する乙女の理想である凛とは比べものにならない、本物のガキだな。