そんなの、1ミリも気づかなかったよ。
景品のことで頭がいっぱいだった。
恥ずかしさメーターが、ポンコツになって壊れるくらい恥ずかしい!
乙女らしさ全開にスキップなんかしなきゃよかった。
「ほら、手ぇ出せ」
凛の手が差し伸べられる。
助けてくれるの……?
やばい。私の彼氏かっこよくね?紳士じゃね?好き。
こんなにナチュラルに優しくしてくれる人いる?いや、いない。
全世界の面食い女子に、自慢したい。私の彼氏は絵に描いたようなモテ男ですよー!!、と。
「ありがと、凛」
「ん」
キュンキュンしながら、凛に手を伸ばした。
……もちろん、手はかすりもしませんでした。
「届かねぇな」
「当たり前だ。深さ的に、見りゃわかるだろうが」
「そっちに脚立とかねぇか?」
「ないわボケ」



