まずは、ただの平坦な道を進んでいく。
早速先頭に出たのは、私と弘也と凛。
凛のやつ、こんな時だけ本気出すとか卑怯だっ。
「幸珀って足速いんだねぇ、知らなかった~」
「喋りながら平然と脇腹殴ろうとするのやめてくれる?」
弘也の拳を軽々と避けて、後ろを確認する。
私達を追っているのは、たかやんと師匠。
剛や下っ端達は、やや出遅れている。
……あれ?桃太郎、どこ行った?
どこにも見当たらない。
「よそ見してると危ねぇぞ、幸珀」
「あっ、ねぇ、凛。桃太郎って足遅いの?」
「いや、そんなことはねぇと思うが」
じゃあ、スタート地点で転んだのかな。
その瞬間、見たかった。
そしたら、めっちゃからかったのに。
惜しいシーンを見逃しちゃったな。



