BAD & BAD【Ⅱ】





有名な旅館顔負けの、この別荘を見ちゃったら、強欲になるに決まってるじゃんか!



今すぐお金持ちになれる方法ないかな。

もういっそ、裏ルートでもいいから。



「ここで旅館やれば、絶対儲かるよ」


「なに人の家で金儲け考えてんだよ」



たかやんが、手の甲で私の頭を小突いた。



だってさ、宝の持ち腐れじゃん。


旅館を始めるってアイデア、いいと思わない?




「私が女将をやれば、人気になると思うんだよね!」


「逆に人気なくなるだろ、それ」


「鷹也の言う通りだ。それに、お前の女将姿とか、想像しただけで萎えるわ」


「一種のいじめだろ」


「どうせなら、女将より板前になれよ。そっちのがまだマシだ」


「そっかそっか、たかやんも剛も、そんなに私の女将姿が見たいのか」




禍々しく笑えば、2人はぎょっと固まった。