有名な旅館顔負けの、この別荘を見ちゃったら、強欲になるに決まってるじゃんか!
今すぐお金持ちになれる方法ないかな。
もういっそ、裏ルートでもいいから。
「ここで旅館やれば、絶対儲かるよ」
「なに人の家で金儲け考えてんだよ」
たかやんが、手の甲で私の頭を小突いた。
だってさ、宝の持ち腐れじゃん。
旅館を始めるってアイデア、いいと思わない?
「私が女将をやれば、人気になると思うんだよね!」
「逆に人気なくなるだろ、それ」
「鷹也の言う通りだ。それに、お前の女将姿とか、想像しただけで萎えるわ」
「一種のいじめだろ」
「どうせなら、女将より板前になれよ。そっちのがまだマシだ」
「そっかそっか、たかやんも剛も、そんなに私の女将姿が見たいのか」
禍々しく笑えば、2人はぎょっと固まった。



