BAD & BAD【Ⅱ】





山の自然を活かした、風流な庭。露天風呂付きの、疲れを存分に癒せそうな風呂場。荷物を置いた部屋の隣には、使い方はわからないけど囲炉裏のある広間もあった。


他にも、少人数用の小部屋や、何から何まで作れそうな調理室や、風呂場とは別に足湯もできる場所もあった。




「どう思いますか、桃太郎氏」


「ここが別荘だなんて信じられません。老舗旅館の間違いじゃないのかと推測します。幸珀氏はどう思いますか」


「激しく同意です」



旅館の従業員……もとい十蔵寺家に仕える使用人すらいない、完全貸し切りの別荘全体をほぼ見終え、

最初の大部屋に戻ってきた私達は、お金持ちの剛に疑いの眼を向けていた。



探検中、皆はずっと口をあんぐりと開けて、絶句状態だった。


無理もない。はしゃぐ気も吸い尽くされるほど、ここは素晴らしすぎる。



首長、私達に贅沢をありがとう!




「ここ、本当に別荘なの?」


「嘘ついてどうすんだよ」


「なんで!?」


「なんでの意味がわかんねぇよ。ちゃんと言え」


「なんで旅館やらないの!?もったいない!!」


「テンション高ぇな。一旦落ち着け」




私も、こんな素敵な別荘が欲しい人生だった……。