「この山も俺ん家の所有地だから、好きに遊んでもいいぞ」
「十蔵寺家って、別荘だけじゃなく山も持ってるの!?」
「そんなに驚くなよ。山の1つや2つ、誰でも持ってるだろ?」
「持ってるわけないでしょうが。庶民なめんな」
毎日金欠で悩んでる私に、お金持ちの常識を押し付けないでくれる?
アホなの?バカなの?
世間知らずにも程があるだろ。
これだから坊ちゃんはダメなんだ。もう少し世の中を知れ!
山を買えるお金があったら、別の何かに使うよ。スイーツとかスイーツとかスイーツとか、それかスイーツとか!
「私は今、格差社会というものを目の当たりにした……」
「気持ちはよくわかるけど、わざわざモノローグを声に出さなくてもいいんだよ?」
真修に肩をポンと叩かれた。
優しい言い方だけど、遠回しに「モノローグ語るな。うるさい」って言ってるように聞こえるのは気のせいだよね?
別荘内に入り、とりあえず大部屋に荷物を置いて、皆で中を探検してみることにした。
広すぎて、迷子になっちゃいそうだ。



