BAD & BAD【Ⅱ】






「この山も俺ん家の所有地だから、好きに遊んでもいいぞ」


「十蔵寺家って、別荘だけじゃなく山も持ってるの!?」


「そんなに驚くなよ。山の1つや2つ、誰でも持ってるだろ?」


「持ってるわけないでしょうが。庶民なめんな」




毎日金欠で悩んでる私に、お金持ちの常識を押し付けないでくれる?



アホなの?バカなの?

世間知らずにも程があるだろ。


これだから坊ちゃんはダメなんだ。もう少し世の中を知れ!



山を買えるお金があったら、別の何かに使うよ。スイーツとかスイーツとかスイーツとか、それかスイーツとか!




「私は今、格差社会というものを目の当たりにした……」


「気持ちはよくわかるけど、わざわざモノローグを声に出さなくてもいいんだよ?」



真修に肩をポンと叩かれた。


優しい言い方だけど、遠回しに「モノローグ語るな。うるさい」って言ってるように聞こえるのは気のせいだよね?




別荘内に入り、とりあえず大部屋に荷物を置いて、皆で中を探検してみることにした。


広すぎて、迷子になっちゃいそうだ。