――そして、今に至る。
悪人更生計画は、表向きでは、
地域の治安を良くするために、と首長が独自で考えたことになっている。
それは、首長に計画を独占されたせいではなく、私達がそうしてほしいと頼んだんだ。
神雷は、どれだけ正義を掲げていても、ヒーローに近しい存在だとしても、あくまで不良。
不良も計画に協力しているとなれば、神雷を支持する一般人が比較的多いとはいえ、世論の批評がどうなるかは容易に想像がつく。
だから、神雷は影の主導者として、計画に協力しているのだ。
そのことを知っているのは、計画の関係者と、神雷は良い子の集まりだよ大作戦に立ち会った野次馬と、神雷の支配が及ぶ地域に配属された警察と、作戦と計画の詳細を風の噂で聞いた一部の者だけ。
そのため首長は、私達に公の場で正式に何かを贈呈することはできないので、剛を通してプチ旅行を授けてくれたんだろう。
首長の粋な計らいで用意してくれた別荘は、剛の自宅とはまた違った、落ち着いた雰囲気のある豪邸で、若干緊張してしまう。



