ノリノリの弘也とは対照的に、師匠は浮かない様子だった。
『泊まり、になるよね?』
『まあ、そうでしょうね』
『楽しみじゃないんですか?』
真修がこてんと首を傾げる。
こういう時、師匠が一番はしゃぎそうなのに。
『……お風呂って、どうなるんだろう』
はい?
お風呂?
『1人で入りたいなぁ』
『師匠は皆でより、1人派でしたか。それなら、時間をずらして1人で入ればいいんじゃないですか』
『幸珀、天才!!』
『知ってます』
師匠の悩みは、いつだって斜め上を行く。
もう慣れたけど。
そういうわけで、たまたまメンバー全員の予定が空いていたので、全員で別荘にお泊りすることになった。
全員が泊まっても余るくらい、別荘は広いらしい。
なんだか合宿みたいだ。
別荘のある隣町までの移動手段は、もちろんバイク。
私と師匠はバイクを運転できないので、私は凛の、師匠はたかやんの後ろに乗せてもらった。



