グラスを手に取ると忘れていたことを思い出す。
「そう言えば、これ。」
華は鞄と一緒に持っていた袋を渡した。
「男の方はどういう物がいいのか分からなくて思い悩み過ぎて結局ケーキです。
甘いもの苦手だったらすみません。」
袋の中にはケーキの箱が入っていた。
「気を遣わせたな。甘い物は好物だ。コーヒーを淹れよう。」
「え、でも…。」
「遠慮するなインスタントだ。僕が飲みたい。」
「ではお願いします」の言葉を聞き終わる前に南田はキッチンへ向かっていた。
華はボーッとその姿を眺める。
キッチンに男の人が立つ姿ってかっこいいなぁ。うちのお父さん、絶対に料理なんて作らなかったし。
南田のいつもより普通の会話に、華の緊張もほぐれる。
もうキスの心配しなくていいしね。…やっぱり南田さんは遠巻きに見ているくらいが丁度いいんだよね。
なにを食べても相変わらず無表情の南田とケーキを食べながら話題は今朝のニュースについて。
「キス病…。対策されていましたね。
反対派の人が反対する理由が無くなっていっちゃいます。」
残念そうな声を上げる華に南田は口を開いた。
「君はこの制度の廃止を所望するのか。
まぁ…プライバシーの侵害だという見解には異論はないが。」
半分くらいしか話が頭に入ってこない…。
また難解な言葉遣いになっちゃうのはわざとなのかなぁ。
そう思っている華をよそに南田は続ける。
「この制度によって我が社の業績も飛躍的に伸びている。」
確かに華の職場が忙しいのもキス税のおかげだ。
仕事があって忙しいのはありがたいことなのかもしれない。
それにしたって…。
「そう言えば、これ。」
華は鞄と一緒に持っていた袋を渡した。
「男の方はどういう物がいいのか分からなくて思い悩み過ぎて結局ケーキです。
甘いもの苦手だったらすみません。」
袋の中にはケーキの箱が入っていた。
「気を遣わせたな。甘い物は好物だ。コーヒーを淹れよう。」
「え、でも…。」
「遠慮するなインスタントだ。僕が飲みたい。」
「ではお願いします」の言葉を聞き終わる前に南田はキッチンへ向かっていた。
華はボーッとその姿を眺める。
キッチンに男の人が立つ姿ってかっこいいなぁ。うちのお父さん、絶対に料理なんて作らなかったし。
南田のいつもより普通の会話に、華の緊張もほぐれる。
もうキスの心配しなくていいしね。…やっぱり南田さんは遠巻きに見ているくらいが丁度いいんだよね。
なにを食べても相変わらず無表情の南田とケーキを食べながら話題は今朝のニュースについて。
「キス病…。対策されていましたね。
反対派の人が反対する理由が無くなっていっちゃいます。」
残念そうな声を上げる華に南田は口を開いた。
「君はこの制度の廃止を所望するのか。
まぁ…プライバシーの侵害だという見解には異論はないが。」
半分くらいしか話が頭に入ってこない…。
また難解な言葉遣いになっちゃうのはわざとなのかなぁ。
そう思っている華をよそに南田は続ける。
「この制度によって我が社の業績も飛躍的に伸びている。」
確かに華の職場が忙しいのもキス税のおかげだ。
仕事があって忙しいのはありがたいことなのかもしれない。
それにしたって…。