午後の仕事の合間、休憩室にいた吉井に声をかけた。
「吉井さんの友人は疲労困憊がはなはだしいんじゃないのか?」
南田に声をかけられた吉井は最初こそ驚いた様子だったが、奥村の話題に自分も言いたいことが募っていたようだ。
「そうですよね!
華ちゃん、派遣の人のこと一人で抱えすぎだし。
ペアの内川さんもただ優しいだけ!
優しいだけじゃなんの役にも立たない!」
まさかここまでの不満が噴出するとは思ってもみなかった南田は驚いた。
特に内川に不満があるところが、さすがだと思った。
「ここまで同意見の人だとは驚愕の事実だ。
…昨日も11時だった。」
南田は休憩室を後にすると自分の席に向かう。
退社時間が11時とは、いくらなんでも残業し過ぎている。
仕事を調整するなどの対策が必要なのに内川さんは何もしない。
奥村さんはまだ新人だ。
内川さんは指導する立場にあるというのに。
自分は間違っていない。
そう確証を得るとすぐさま行動に移した。
小さい会議室を予約すると部長に「ご相談があります」とメールを送り、会議室で話したい旨を伝えた。
部長からはすぐさま返信が来て、了承を得た。
時間になり、会議室で待っていると部長がやってきて、開口一番で思ってもみないことを口にした。
「南田くんはペア制度に不満があるのかね?」
「どうして…そう思われるのですか?」
クソ喰らえと思っていたのは、顔に出していないはずだ。
「いや〜。君のペアの加藤さんが南田くんとのペアがつらいって訴えてきてね。
そのうち慣れるとは言ったんだが…。」
そうか…。それは好都合だ。
「そうでしたか。僕は共にスキルアップしていく人材と仕事がしたいと思っています。
派遣の方は言わば僕たちの手伝いに過ぎない。」
「…そうかぁ。いやぁ南田くんとは、社員の奥村さん知っているかい?
あの子とのペアという話もあったんだが…。」
なんだって!そんなこと初耳だ。
部長は尚も言葉を続けた。
「奥村さんは認証機械の仕事を頑張ってるからね。
せっかくだから同じ仕事を頑張らせてあげたかったんだよ。」
だからってあんなに残業することがいいとは思えない。
「奥村さんが仕事を頑張っているのは知っています。
僕が新人の彼女を指導していきます。
奥村さんとなら共にスキルアップしていけると思います。」
「そうか…。南田くんがそう言うならペアを変更してみようか。」
納得すれば話が早い部長に、これほどまで感謝したことはない。
部長は、明日には変更しよう。と約束を口にする。
南田は不毛な質問だと思いつつ、部長に質問を投げてみた。
「僕と奥村さんのペアも考えてもいた。ということ僕は奥村さんと相性が良かったのでしょうか?」
「まぁそうだな。
しかし南田くんは相性を気にするのか?
そういう非論理的なことは好まないイメージだがな。」
確かにそうだ。僕としたことが…。
くだらない。
「いえ。ただ伺ってみたかっただけです。」
「私も仕事の成果が一番だと思っている。
君たちのペア変更。期待しているぞ。」
分かっている。
畑違いの仕事を敢えてさせるのだ。
奥村さんには酷かもしれないが…。
僕も彼女も頑張るしかないのだ。
部署に帰る途中、部長は世間話のようにキス税の認証率のことを口にした。
「南田くんもプライベートが充実してきたようだが?」
「そんなことは…。」
上司が認証率を見られる制度はどうなんだ…。
まだ部長はいい方だろう。
もっとえげつないことを言う上司だっているはずだ。
「仕事もプライベートもバランスが大切だよ。」
そう笑った部長は席に戻っていった。
そんな二人を陰から見ている人がいた。
その人は二人の会話を納得いかない顔で聞いていた。
「吉井さんの友人は疲労困憊がはなはだしいんじゃないのか?」
南田に声をかけられた吉井は最初こそ驚いた様子だったが、奥村の話題に自分も言いたいことが募っていたようだ。
「そうですよね!
華ちゃん、派遣の人のこと一人で抱えすぎだし。
ペアの内川さんもただ優しいだけ!
優しいだけじゃなんの役にも立たない!」
まさかここまでの不満が噴出するとは思ってもみなかった南田は驚いた。
特に内川に不満があるところが、さすがだと思った。
「ここまで同意見の人だとは驚愕の事実だ。
…昨日も11時だった。」
南田は休憩室を後にすると自分の席に向かう。
退社時間が11時とは、いくらなんでも残業し過ぎている。
仕事を調整するなどの対策が必要なのに内川さんは何もしない。
奥村さんはまだ新人だ。
内川さんは指導する立場にあるというのに。
自分は間違っていない。
そう確証を得るとすぐさま行動に移した。
小さい会議室を予約すると部長に「ご相談があります」とメールを送り、会議室で話したい旨を伝えた。
部長からはすぐさま返信が来て、了承を得た。
時間になり、会議室で待っていると部長がやってきて、開口一番で思ってもみないことを口にした。
「南田くんはペア制度に不満があるのかね?」
「どうして…そう思われるのですか?」
クソ喰らえと思っていたのは、顔に出していないはずだ。
「いや〜。君のペアの加藤さんが南田くんとのペアがつらいって訴えてきてね。
そのうち慣れるとは言ったんだが…。」
そうか…。それは好都合だ。
「そうでしたか。僕は共にスキルアップしていく人材と仕事がしたいと思っています。
派遣の方は言わば僕たちの手伝いに過ぎない。」
「…そうかぁ。いやぁ南田くんとは、社員の奥村さん知っているかい?
あの子とのペアという話もあったんだが…。」
なんだって!そんなこと初耳だ。
部長は尚も言葉を続けた。
「奥村さんは認証機械の仕事を頑張ってるからね。
せっかくだから同じ仕事を頑張らせてあげたかったんだよ。」
だからってあんなに残業することがいいとは思えない。
「奥村さんが仕事を頑張っているのは知っています。
僕が新人の彼女を指導していきます。
奥村さんとなら共にスキルアップしていけると思います。」
「そうか…。南田くんがそう言うならペアを変更してみようか。」
納得すれば話が早い部長に、これほどまで感謝したことはない。
部長は、明日には変更しよう。と約束を口にする。
南田は不毛な質問だと思いつつ、部長に質問を投げてみた。
「僕と奥村さんのペアも考えてもいた。ということ僕は奥村さんと相性が良かったのでしょうか?」
「まぁそうだな。
しかし南田くんは相性を気にするのか?
そういう非論理的なことは好まないイメージだがな。」
確かにそうだ。僕としたことが…。
くだらない。
「いえ。ただ伺ってみたかっただけです。」
「私も仕事の成果が一番だと思っている。
君たちのペア変更。期待しているぞ。」
分かっている。
畑違いの仕事を敢えてさせるのだ。
奥村さんには酷かもしれないが…。
僕も彼女も頑張るしかないのだ。
部署に帰る途中、部長は世間話のようにキス税の認証率のことを口にした。
「南田くんもプライベートが充実してきたようだが?」
「そんなことは…。」
上司が認証率を見られる制度はどうなんだ…。
まだ部長はいい方だろう。
もっとえげつないことを言う上司だっているはずだ。
「仕事もプライベートもバランスが大切だよ。」
そう笑った部長は席に戻っていった。
そんな二人を陰から見ている人がいた。
その人は二人の会話を納得いかない顔で聞いていた。